あるお客さんがいました。
あたしの父親くらいの年齢で、細くて背が高くて嘘をつかない人でした。 あ、別に死んだとかそういう話じゃあないよ。 その人との最初の出会いは最悪で、おじさんはいつも呼んでいるお気に入りの女の子がお店にいたんだけど、その日たまたまその女の子がお休みで代わりにあたしが行かされたわけです。 プレイの前に浴びるシャワーは絶対お客さんと2人で浴びたいのに(綺麗にするだけじゃなくて身体チェックも含むから)、おじさんは「もう浴びたから」の一点張りでなかなかシャワーに行こうとしてくれませんでした。結局あたしの粘り勝ちだったけど「○○さん(いつも読んでる女のコ)はそんなこと言わない」「そんな強く言われたの初めてだ」とちょっと不服そうでした。あたしはもっと不愉快でした。 でもプレイに入るとよほど気持ちよかったのか、あたしのことをいたく気に入ってくれて「また呼ぶ」と言って次の週本当に呼んでくれたんです。 しかし正直ファーストコンタクトが良くなかったせいもあり、あたしは心から喜べないでいました。それでも少しずつ色んな話をするようになり段々とその人に対する意識が良い方向へ変わっていきました。 おじさんは「お店を通して会うより2人で会う方があなたのためにはいいでしょう?だって僕がこれだけのお金を払ってもあなたが貰える額は半分くらいになるんでしょう?だったら仕事に出る1時間前にでもここに来て全額貰う方がいいんじゃない?」と、2人で会う事を提案してきましたが、おじさんに会うために早めに支度をして家を出るなんて面倒くさい、第一2人で会う事を許すほどそこまでお客さんのことをあたしは信用していません。ですから何度も何度その話を提案されながらずっとあたしは断っていました。 それでも時間の経過と共にあたしはおじさんに心を許すようになり、おじさんが下心からではなくあたしのことを考えて2人で会う方がいいんじゃないか?と言ってくれていることにも信用が置けるようになってきました。 そうしてデリの仕事の前ではなく、喫茶店のバイトが終わってからおじさんと会うようになりました。 おじさんは毎週地方から東京に出張に来ていて、「あなたと会うことだけが楽しみだ」と言ってくれました。デリに行く時のきちんと支度を整えた格好のあたしではなく、喫茶店のアルバイトの時のメガネをかけて適当な格好をしたあたしを受け入れてくれたことにも安心しました。 おじさんと会うときは夕ご飯を一緒に食べた後宿泊先のホテルに向かいました。 おじさんと会うことを了解したもう一つの理由は、プレイ内容がとても楽だということです。フェラも素股もしなくていいんです。キスをしたり乳首を舐めているだけですぐイッてしまうのでこれほど楽な仕事はありません。 あたしが生理の時はご飯だけ食べておしゃべりをして帰りました。喫茶店のバイトの後に会うという時間は絶対ずらさなかったので、あたしにとっても効率が良かったのです。 アルバイトの後会えない週はお店を通して会っていました。 先日、お店を通してこのおじさんと会いました。でもその週は喫茶店のバイトの後にも会っていたので、おかしいな、こないだ会ったばかりなのに、と変に思いました。 お部屋に入ると明らかに元気のないおじさんの姿がありました。 そうして、「なんだかもうあなたに会えなくなるような気がして、これで会えるのは最後になるかもしれないと思って電話したんだ」と言うのです。 病気?妙な虫の知らせ? でも話をしていて解ったのは、おじさんが本当にあたしのことを好きだったということでした。 おじさんとは本当に色んな話をして、あたしも隠し事をしないで色んなことを伝えていました。 おじさんはあたしのことを本当に好いてくれて、そのことがかえって引っかかりを覚えるようになってしまったのでした。こんな風に会うのは心苦しいと。 毎週のように会っていたし、気の置けない存在となっていたおじさんに「もう会えないかもしれない」と言われて、あたしは悲しくなってしまいました。 そうして本当に悲愴な顔をするおじさんを見て、涙が止まらなくなってしまいました。 1時間、あたしとおじさんは泣き続けていました。 あたしにそんな風に想われる資格はないのに。嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちでぐしゃぐしゃしなりました。 この先会えるのかはわかりません。多分、会うんだろうけど(笑)。でもきっとご飯を食べてお喋りをする間柄になるんだと想います。 風俗嬢と遊ぶにはあまりに純粋な人でした。
by coffee-cigarette
| 2006-10-20 18:36
| 仕事
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プロフィール
名前:青猫 性別:女子
血液型:B 趣味:音楽鑑賞、妄想 好きな男性:木下理樹、ルパン3世 東京にて宅配ヘルスを生業とする2○歳。 最近映画の話が多いです。 嫌いな季節になってきましたが、フェスが待ってるので仕方ありません。 カテゴリ
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